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大麻の成分「テトラヒドロカンナビノール」がアミロイドベータを減少させる、アルツハイマー病の治療に役立つ可能性

先日、大麻に含まれる成分が脳の神経回路を破壊することをマウスの実験で示したとの研究結果が発表されました。しかし今度は、大麻成分の一つ「テトラヒドロカンナビノール」がアルツハイマー病の治療に役立つ可能性があるとする研究結果が、Nature誌で発表されました。




大麻には「カンナビノイド」と呼ばれる60種類以上の成分が含まれています。なかでも「テトラヒドロカンナビノール(THC)」はマリファナの主な有効成分とされていますが、多幸感を感じるなどの作用があり、向精神薬として医療分野でも利用されています。

アルツハイマー病については、脳内に蓄積されるアミロイドベータタンパク質の蓄積が主な原因と考えられています。研究グループは、テトラヒドロカンナビノールにはアミロイドベータを取り除く作用があることを発見したという。

研究グループは、アミロイドベータを大量に産生するよう遺伝子操作した神経細胞を使って実験しました。この細胞をテトラヒドロカンナビノールを暴露したところ、アミロイドベータが減少することを確認したという。

しかし今回の実験結果は培養した神経細胞に対してのものであるため、生きている人間に投与しても同様の効果を得られるとは限りません。より詳細な研究を進めるとともに、脳に与えるダメージと保護作用の両方を合わせて考える必要がありそうです。