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センター試験廃止?2次試験は人物評価重視?入試が大きく変わる、高校や大学側から不安や反発の声

大学入試改革

大学入試改革、見えぬ着地点 「一定の学力必要」「人物重視」 根強い反対論 (産経新聞)


22日に中央教育審議会が大学入試センター試験に代わる新しいテストの導入に関して下村文部科学相に答申しました。ちょうど今の小学六年生が大学入試を受験する平成31年度から実施される見通しです。2000年代から実施された「ゆとり教育」は生徒の学力低下をまねき、学習指導要領の見直しによりいわゆる「脱ゆとり教育」が実施されており、事実上の失敗であったとの認識が広まっています。大学入試制度の改革も一歩間違えば日本の教育が破綻しかねない大事な問題です。いったいどのような制度に変更されるのでしょうか。




 今回の入試改革は、学習指導要領が示す「確かな学力」の定着が目的で、偏差値中心の受験のあり方が一変するといいます。答申では、2種類の新テストが示されました。

 まず、センター試験に代わって「大学入学希望者学力評価テスト」という新しい試験が導入されます。どういった試験になるかというと、まず「教科型」の設問を廃止して複数の教科を合わせた「総合型」の試験になるとのこと。成績は現在の「1点刻み」ではなく「段階別表示」になる。また英語では「英検」など民間試験の活用も検討されるそうです。

 次に、高校在学中の学習到達度を測る「高等学校基礎学力テスト」が導入されます。在学中に年数回実施され、高校2年でも受験できるようになるとのこと。

 各大学の個別試験のあり方も示されました。知識中心の筆記試験だけではなく、思考力や表現力を問う「面接」を重視せよとのことです。

 大学入試制度の変更は、生徒の学習の方法や意欲などにもっとも影響を与える可能性があります。「ゆとり教育」では、学生の基礎的な学力が明らかに低下したとの声が各大学の教員から聞こえてきました。今回の改革は大学入試そのものに手を入れるため、大学にも直接影響を与えます。

 とくに各大学の個別試験では、各大学の特色や教育理念など「アドミッション・ポリシー」を明確にし、小論文、面接、集団討論などを積極的に活用するよう求められています。はたして、そのような受験のありかたで本当に大学が求める学生を集めることができるのでしょうか。現実の問題としてたった数回実施した面接や集団討論などでは数多くの受験生から大学が求める資質をもった人物を選び出すのは非常に難しいものです。受験の一部にAO入試などを活用して学生の幅を広げるのならまだしも、すべての入試に不確かな人物評価試験を課すことは非常に危険性を伴う可能性があります。某大学のAO入試第一期生がその後、研究不正問題を起こして日本の科学会に衝撃を与え、学位取り消しの決定を受けたことからも、面接などによる人物評価の不完全性が示されているのではないでしょうか。

 新テストの具体的な内容についてはこれからで、今後はさらに多くの議論がなされることになるでしょうが、すでに高校や大学側からは不安や反発の声が多くあがっています。簡単には結論を出さず、理想論ではなく現実を見据えた改革を望むばかりです。