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腫瘍抗原「ポドプラニン」に対するキメラ抗原受容体、膠芽腫に対して抗腫瘍効果を確認

 腫瘍抗原「ポドプラニン」に対するキメラ抗原受容体(CAR)を作製し、膠芽腫に対して抗腫瘍効果を確認したと、名古屋大や東北大の研究チームが米科学誌「Cancer Immunology Research」で発表した。

 膠芽腫は5年生存率が10%と極めて予後が悪い成人の原発性脳腫瘍である。近年、さまざまな悪性腫瘍で免疫療法が注目されており、膠芽腫に対してもその効果が期待されている。

 免疫療法の一つにキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法がある。CARはがん抗原を特異的に認識する抗体とT細胞受容体の細胞内シグナルのハイブリッドで、T細胞に発現させることでMHCに依存しない腫瘍特異的細胞障害性T細胞を大量作製することができる。

 ポドプラニンは多くの悪性腫瘍に発現し、膠芽腫を含む星細胞系腫瘍では悪性度に応じて発現上昇するため膠芽腫の標的として適している。

 研究グループは、ポドプラニンに対するモノクローナル抗体「NZ-1」を基にCAR遺伝子を合成してT細胞に導入した。このT細胞の細胞傷害性を評価したところ、ポドプラニン陽性膠芽腫細胞株に対して抗腫瘍効果を示すことが確認された。

(via 東北大学