セルロース系バイオマスからバイオエタノールを生成する前処理で、流動キャビテーションによって生じる衝撃作用を使うと効率が向上すると、東北大の研究グループが米科学誌「Industrial & Engineering Chemistry Research」で発表した。
非可食のバイオマス資源である稲わらや廃木材など「セルロース系バイオマス」の利用が期待されている。セルロースは酵素による加水分解で単糖を経て燃料に、リグニンは化成品に有効利用できる。
しかし、セルロース系バイオマスを利用するためには、リグニンに覆われて強固な結晶構造をもつセルロースを、リグニンと分離させて結晶構造を破壊する「前処理」が不可欠である。
これまでは酸処理やアルカリ処理、水熱処理などが提案されているが、近年ではソノケミストリと呼ばれる超音波で発生させたキャビテーションを用いた前処理の研究が行われている。
研究グループは、超音波の代わりに流れ場を用いて発生させたキャビテーション(流動キャビテーション)を用いることで、処理効率を20倍以上に向上させることに成功した。
流動キャビテーションは、噴射圧力やキャビテーション数、絞り部直径などの流動条件を最適化することで、さらなる強化が期待できるという。
(via 東北大学)