低温の状況下で体内時計が停止してしまう原理を解明したと、九州大の研究グループが発表しました。
低温下で体内時計のリズムが泊まってしまうことは、昆虫や植物で報告されていましたが、詳細にはわかっていませんでした。
近年、バクテリアの体内時計を試験管内で再現する実験方法が開発されたことから、体内時計を高精度で測定することが可能になりました。そこで、体内時計が低温下でどのように停止してしまうかを測定して詳しく解析しました。
その結果、室温では強いリズムが存在するものの、温度を下げていくと次第にリズムの振れ幅が小さくなり、19度以下になるとリズムが停止することがわかりました。
また、このリズム停止は数学上の分類でいうところの「ホップ分岐」に分類されることがわかりました。
これはブランコのリズムに例えることができ、室温ではブランコをこいでいるときのように揺れ続けますが、温度が低くなるとブランコをこぐ力が弱まり、19度以下になるとこぐのをやめた状況と同じになります。
ブランコは、乗り手がこぐのをやめてしまっても、ちょうどよいタイミングで繰り返し押してやると小さな力でも大きく揺り動かすことができます。
そこで、研究グループは低い温度で泊まってしまった体内時計に対して、ほぼ24時間のリズムで2度の温度変化を与える実験を行いました。
すると、強いリズムが観察されました。これは、いわゆる「共鳴現象」と呼ばれるものと同じで、体内時計においても共鳴が起こることがわかりました。
今回の結果から、このような共鳴現象を使って人の体内時計をメリハリのあるものへと変えることが可能になる可能性があります。