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マウスの四肢形成における「ポリコム複合体」の役割を解明

 マウスの四肢のもとになる「肢芽形成」の仕組みの一端を解明したと、理化学研究所の古関明彦グループディレクターらの研究グループが英科学誌「Development」で発表した。エピジェネティクス因子の「ポリコム複合体」がマウス四肢の領域特定化と形態形成に関与することが明らかになった。

 分化の過程では、発生に重要なシグナル群に依存した組織内の「領域特定化」が行われ、その情報に基づいて胚が形成される。

 ポリコム複合体が領域特定化に関与して細胞の分化に関与することは知られているが、分子メカニズムはわかっていなかった。

 研究グループは、ポリコム変異マウスを用いて肢芽の領域特定化に果たすポリコム複合体の役割を調べた。

 その結果、ポリコム複合体は四肢の肩から指先にかけての軸「基部先端部軸」の領域特定化に関与しており、特に先端部形成に寄与することがわかった。

 さらに、肢芽先端部でポリコム複合体によって抑制される「Meis2」遺伝子を同定した。

 ポリコム複合体とMeis2遺伝子をノックアウトすると、ポリコム変異によって引き起こされる肢芽の基部先端部軸の異常が改善され、肢芽先端部の形成が部分的に回復することが確認された。

 ポリコム複合体の機能が肢芽の基部先端部軸形成に必要な発生シグナルによって制御され、特にその機能が肢芽先端部の形成の開始と維持に寄与することを示しているという。

(via 理化学研究所