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イルカセラピーの癒し効果を調査。和歌山大

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 和歌山県田辺市扇ケ浜海水浴場のイルカと触れ合えるイベント会場で、和歌山大学が26日、イルカの癒やし効果の調査を始めた。イルカと触れ合った前後でストレス度の変化を調べる。27日まで。

 イルカセラピーは、人への癒やし効果があるとされる犬や馬などを用いた動物介在療法の一種。米国で研究が始まり、国内の水族館でも実施している。自閉症の発達支援に効果があるとされるが、科学的に不明な点も多いという。

 調査は精神科医でひきこもりや不登校問題に詳しい、和歌山大学保健管理センターの山本朗准教授(40)が行っている。

 ストレス度は唾液に含まれるアミラーゼの数値で判定。精神的なストレスで交感神経が興奮すると上昇する。イルカに触れ合う前後で測定し、変化を調べる。

 昨年の調査ではイルカと触れ合った後に、ストレスが減少する傾向があった。今回はサンプル数を増やし、統計的に差が現れるかを確認する。

 さらに、日常のストレス度や海への愛着度、イルカに触れた感想などを聞くアンケートも同時に実施し、ストレス変動の要因も探る。

 奈良県香芝市から家族4人で訪れた主婦、田内直美さん(37)は「イルカに触ったのは初めて。ゴムみたいな感触だった。思ったより大きかったけど、かわいい」と笑顔。ストレス度は低く、前後で大きな違いはなかったが、「触れ合うと癒やされた気がする」と話した。

 山本准教授は「イルカセラピーの生理学的な調査は珍しい。今回で触れ合い体験の効果がある程度分かるはず。日常のストレスチェックにも利用してもらえれば」と協力を呼び掛けている。

 イベントの実行委員会メンバーの田上雅人さん(42)は「よい結果が出ることを期待したい。将来はセラピー事業もできれば」と話している。

 出典 紀伊民報